山﨑武也『人生に必要なことはすべて茶席に学んだ』講談社、2009年
岡倉天心の『茶の本』が著者の茶道の原点という。伝統に浸ることの喜びを著者は述べている。伝統賛美に少し反発を感じながらも読んでいくと、
「稽古の場でも、先生がその都度、床の間に掛ける軸を変える。それに対して、「見たことがある」とか「去年のと同じだ」とかいっているうちは、まだ初心者であり、未熟者の域を脱してしない。頭だけで考えていて、自分の全身をぶつけて感じ取ろうとする術をまだ知らない人だ」(P146)。
では、一流はどう感じるのか。
「今年も見ることができたといって喜び、その感動に心から浸ることができるようになったら、一人前の域に達したといっていい」。
酒司 飛鳥のカウンターにとまって、祇園祭の軸を見たとき、それだけで嬉しかった。私の稽古場はバーである。
コメント