暑さに強いとは

断片記憶

猛暑で厳しいと思っていたら、他は豪雨か酷暑に近い。最近はコンクリートジャングルとは言わなくなったが、東京湾の風を遮るビルのために温度が下がりにくいのが都会の暮らしである。もうなくなってしまった実家近くの林から聞こえてくるヒグラシの鳴き声は涼しげで、奈良のホテルで聞いたクマゼミの鳴き声は気が遠くなるほど暑苦しかった。

猛暑の中を歩いてみて、風があったのでなんとか耐えられる状態であることがわかった。それでも、Le Petit Parisienでビネガーソーダを飲んで休憩したことは言うまでもない。ついでに生井巖著『そとにでた かまどうま』の復刻版をオーナーが上製本にしていたので、出来立てほやほやを貰ってきた。厚紙の表紙に布を糊付けしてプレスしていたのだった。前の縮緬を貼った本は糊が付きにくいらしく、1冊だけ作ったのを見せてもらったが、それは生井巖氏に献本したという。100部作るうち70部は並製本で30部は上製本になる。番号のないやつでもよかったが、オーナーは九十九番にした。前の本は4番だし、その場で番号を書いているので、番号のない本が手元にいくつ残るのだろう。生井巖氏の原本のように。

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