井上章一『伊勢神宮と日本美』講談社学術文庫、2013年
原研哉氏の『白』(中央公論新社、2008年)を読んでいて、伊勢神宮の建築様式の起源の話があった。そこで、デザイナーではなく、建築史家の話を確認することにした。ただ、癖のある井上章一氏であり、「建築史の学界は、私の仕事を黙殺した」(P610)と書いているので、他の本に拠るべきだったかもしれない。もっとも、建築史の論争について書いているので、どちらの主張も触れているから敢えて他書を見ることもないだろう。7世紀の伊勢神宮がどのようなものだったかはいずれにしても判らない。岡谷公二氏の神社の起源を求める旅の記録を読んでも、それより遡れないのだった。
本書は「あとがき」まで行くと611頁になる文庫本なので、見通しをつけるのが難しい。そこで、ググることにした。そして、見つけたのが以下のサイトで、面白くて、読んでしまったが、なにぶん長い。『伊勢神宮と日本美』を読み直さなくてもよい気になった。
10+1 websiteに「伊勢神宮を語ること、その可能性と不可能性──式年遷宮を機に」(2014年2月11日)が載っていた。IXIL GINZAで行われた井上章一(建築史)×安藤礼二(文芸批評)×青井哲人(建築史・都市史)の鼎談である。
伊勢神宮を語ること、その可能性と不可能性──式年遷宮を機に
伊勢神宮をいかに語りうるか 青井哲人──昨年、第62回目の伊勢の式年遷宮が行われましたが、建築関係の雑誌では関連する特集は組まれていないようです。第59回のときのように伝統論の盛り上がりがあるわけでもなく、そもそも歴史が現代を活性化させるよ...
注)
岡谷公二『原始の神社を求めて』(平凡社新書、2009年)に始まるシリーズを参照。
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