小川原正道『西南戦争 西郷隆盛と日本最後の内戦』中公新書、2007年
西南戦争の通史である。明治六年の政変から始まる。
去年は明治維新を考える書物が相次ぎ出て、私もいくつかを手にした。明治維新から150年がいわれたので今年は151年目となる。この本は西南戦争から130年の年目に刊行された。去年は西南戦争140年でもあった。
以前に手にした時と、理解するところが変わってきた。それだけ、この時代の知識が蓄積してきたのだろう。当時の兵站も知りたくなった。弾薬使用量の推定などはどのように考えたのだろか。
海軍を持たない、陸軍のみの薩軍に見通しの甘さが目立つ戦争として描かれている。西郷隆盛が、戦争指導する場面がほとんどないのは、どうしたことなのだろうか。
明治22年に西郷隆盛が名誉回復と贈位されて、この本も終わる。贈位の政治学とも思われる考察は丸山真男の「荻生徂徠の贈位問題」だったか。賀茂真淵と本居宣長が従三位となったのも吉田松陰が正四位であるのも明治近代国家の政策である。
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