谷川多佳子『デカルト『方法序説』を読む』岩波現代文庫、2014年、2017年第2刷
第3章では、デカルトの『方法序説』で書かれていない1部と2部の間のことが語られる。デカルトは学校を出て書物の学問を捨てて旅に出る。そして「わたし自身のうちに、あるいは世界という大きな書物のうちに」(P66)学問を求めた。
まず、オランダのナッサウ伯マウリッツの新教軍に入りる。デカルト自身はフランス生まれでラ・フレーシュ学院(カトリックのイエズス会)を出たのでカトリックなわけで、理由が分からない。2部ではドイツでカトリック軍に入り、炉部屋の省察につながるわけだが、なぜ軍事組織なのかは推測の域を出ない。
オランダではブレダの街頭に貼られた数学の検証問題を解いたりした。このあたりは『天地明察』(冲方丁、2011年)でも、渋川春海が和算の問題を見に神社へ行くシーンがあって、「算額」の問題を関孝和が一瞥即解したことを思い出す。数学の問題の解答競争が江戸社会にもあったことで近代に向かう時代性を感じる。
第4章では、第2部の炉部屋の思索と学問の方法と第3部モラルの問題が語られる。
第5章では、4部から6部が語られる。神の存在証明の胡散臭やデカルトの時代の自然学には関心が向かない。やはり興味があるのはデカルトの『世界論』の刊行中止の話になる。『方法序説』(1637年)の書かれた時代はドイツ三十年戦争(1618年-48年)という宗教戦争の時代であり、ガリレオ裁判(1633年)にみる異端審問の怖さなど、デカルトを煩わせた宗教問題が詳しく語られる。なるほど、デカルトと言えども歯切れが悪くなるわけだ。学問とは違い、人生は慎重にだったデカルトがそこにいる。
第6章は谷川多佳子氏による『方法序説』と現代哲学が語られて終わる。
このあと、わたしの興味は何処へいくのだろうか。不得意な4択問題になった。
①森有正『デカルトとパスカル』筑摩書房、1971年
②ロディス=レヴィス、飯塚勝久訳『デカルト伝』未來社、1998年
③C. ヴェロニカ・ウェッジウッド、瀬原義生訳『ドイツ三十年戦争』刀水書房、2003年
④それ以外
注)①は7円。②は575円③は15,324円と中古価格が買った価格より高くなっている(2018年10月11日Amazon調べ)。
注)④ デカルトが読んだというモンテーニュの『エセー』など、60歳を過ぎたらモラリストを読めという谷沢永一の勧めに従うのが分別というものだろうか。
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