『法然の手紙を読む』(2025)を読む(その4)

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阿満利麿『法然の手紙を読む』ちくま学芸文庫、2025年

第三章 死後を見定める

正如房へつかわす御文を読むことになった。正如房(しょうにょぼう)は誰かと思ったら式子内親王のことという(p.203)。

式子内親王は新古今和歌集に49首入集している。これは藤原定家の47首より多い。百人一首の歌があまりにも有名である。歌集を昔に読んだ気がするが、記憶は定かでない。

「法然は、正如房が臨終にあたって、もう一度法然に遇いたいと切々と訴えてきたのに対して、折しも特別に「念仏会」を設けて、しばらく外出せずに称名に集中すると決めたばかりなので、遇うのはやめる、と返事している」(p.207)。

法然は、正如房に対し、ともに浄土で再会するために、念仏をすべきと諭している。浄土で待つように言っている。この手紙は、一旦、あなかしこ、あなかしこで終わるが、さらに文が続く。

阿満利麿氏は「この手紙を読むと、正如房と法然の間には、深い信頼関係が結ばれていたことがよく分かる」(p.223)という。敢えて遇わないと決断した法然の「ただならぬ思いがみなぎっている」(同上)手紙だった。

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