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『形の発見』(2013)

「琴ならし」の話(天心の『茶の本』の大塚パラフレーズ)は読むことの本質を問うもので面白い。大塚久雄氏のゼミナールに著者が聴講を許された時の開講の話が昨日のことのように話される。 仙人が献上した琴を誰も鳴らせることができないなか、伯牙という乞...
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『日本書紀の謎を解く』(1999)

森博達著『日本書紀の謎を解く』(中公新書、1999)では、音韻学と語用により、従来の頻出語等による形態分析の限界を超えて日本書紀の成立順と述作者の推定をしています。 音韻学と語用の指摘は煩瑣ですが(普通は飽きると思いますが)、個々の事例なの...
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『人間の限界』(1975)

霜山徳爾『人間の限界』岩波新書、1975年、1976年第7刷 臨床心理学者の霜山徳爾氏の「人間性」に関するエッセイです。 味わうという言葉が単に生理学的な意味だけではなく、「甘露」、「辛酸」、「苦渋」などの言葉と結びつき、人間らしくなるのは...
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『演者の目』市川猿之助

六代目菊五郎の『鏡獅子』の生命力溢れる踊りを論じながら、自身も祖父に『鏡獅子』が踊れるよう藤間宗家から『鏡獅子』を習った市川猿之助氏(当時は団子)は、藤間宗家より「六代目はこうやりました。しかし貴方はこれを真似しては駄目です。貴方の個性を、...
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椎名誠『メコン・黄金水道をゆく』を病院の待合で読む

椎名誠著『メコン・黄金水道をゆく』(集英社文庫、2008)を妹が入院した病院の待合で読む。 世界には大きくわけて三つの種類の川があると椎名誠氏があとがきに書いている。 ①日本の川 ②スコットランドの川 ③アマゾンやメコン 「メコンの流域には...
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『浄土』森敦

「見て、みんなで泣いてもらったんで、お墓の人が喜んでひらひらと踊ってるわ」いくつとない土饅頭の向こうで、ほんとにチマチョゴリの女たちが踊っているのが見える。「唄も聞こえるじゃないの。まるでお浄土のようね」 著者が韓国に招待旅行されたときに、...
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『地図から読む歴史』足利健亮

本の一部を読んだだけだが、面白かったので紹介する。 『地図から読む歴史』(足利健亮、講談社学術文庫、2012) 第17章 都市内道路名称の意味を解く 正しく問うことが必要だという。「大阪では南北の道をなぜ筋というのですか」では答えようがない...
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『日本語と英語』片岡義男

『日本語と英語 その違いを楽しむ』(片岡義男、NHK出版新書、2012)を寺町二条上ルの三月書房で買う。百萬遍知恩寺の古書市にも行かずなにしているのだろう。 日本語と英語の違いに潜む問題を提示してくれるご存知片岡御大の語学エッセイ。 Eat...
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『和菓子の京都』川端道喜

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『和の思想』(2009)を読む

長谷川櫂氏の『和の思想:異質のものを共存させる力』(中公新書、2009)は日本文化を論じた本だ。日本文化を論ずるのは恥ずかしいという気がしていたが、本書を読むと誤解だったことがわかる。 著者の主張は和を近代以前の日本文化として固定的なものと...