花士 珠寳

Goinkyodo通信 視聴時間

カルチャーラジオ 日曜カルチャー 「人間を考える〜感性を磨く」で花士 珠寳の回(2021年6月6日)を聞き逃しで聴いた。

人の成長物語であった。神戸の芦屋育ちの女性が20代の終わりに阪神淡路大地震を経験した。家が全壊し、心の空白を覚えて打ち込んだ華道、無雙眞古流の源を尋ねる過程で故岡田幸三と出会い、安土町の寳泉坊へ通うことになる。700段の石段を上るとそこで庭を掃いている老人がいた。岡田幸三である。岡田幸三は池坊花道の達人で古典花道に通じていた。そこで竹を刈り、花筒を作ったりして、花をすることの全てを習う。華道を習っているといっても素人である。よく受け入れてくれたものだ。花と古文書の翻刻作業を師匠から習う。第一段階は卒業と言われ出入り禁止を言われ哀しくなったという。一期一会の教えである。

無雙眞古流は江戸中期の生花の流派で足利義政に流祖を求めた。慈照寺銀閣との関係も深い。珠寳さんがレポートをまとめると、慈照寺銀閣に花務係として勤めることになる。駐車場の裏に花畑を作ったという。花道場は研修道場にまで発展する。

10年経ち独立した珠寳さんは青蓮舎を起こす。花士(はなのふ)珠寳(しゅほう)となる。何と素晴らしいネーミングである。生け花の源流を求める旅を通じて成長した女性の物語は、鬱陶しい梅雨を吹き飛ばしてくれた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました