『信長家臣明智光秀』(2019)

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  1. 金子拓『信長家臣明智光秀』平凡社新書、2019年

新書であるが、読み応えがあった。明智光秀ものはいい加減なものが多いので、眉唾ものに気をつける必要がある。金子拓氏が取り上げた光秀の手紙を読むことで、光秀を取り巻く人間関係が見えて来る。光秀が戦傷や病気を見舞った手紙が多く残っている。同時期の他の武将にはほとんどないとすれば、光秀の人柄が少し分かる。連歌に興じる文人としての光秀、武将としての光秀、戦国時代の男は単純ではない。

そうした光秀が織田信長を殺害した本能寺の変を考えると、金子拓氏が指摘しているように、四国問題、那波直治・斎藤利三の帰属をめぐる問題、殴打、饗応役の話が「短期的につづけざまに起きたことが、この事件の核心であった」(P213)というのも肯ける。

本能寺の変の後に『兼見卿記』に「今度謀叛の存分雑談なり」とあることに対して、金子拓氏は「ここで兼見が光秀から聞いたことを書き記していれば、後世この事件の謎について議論が巻き起こるようなことはなかっただろうからだ。しかし、ここまで光秀の活動を検討し、事件の原因について私見をまとめたうえで考え直すと、「雑談」とひと言で片づける程度の、たいした動機ではなかったのかもしれないという気持ちにもなっている」(P215)。

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