『書痴の散歩』(1932)の話

断片記憶

齋藤昌三『書痴の散歩』書物展望社、1932年

私が戦前の本を持っているとは、私の周りにいるひとは想像できないに違いない。新し物好きでミーハーと思われているが、例えば、書痴と言われた齋藤昌三の『書痴の散歩』(書物展望社、1932年、1,000部発行の113番)とかを持っている。研究所に出入りしている書痴庵さんも戦前の本があるとは思っていなかったという。齋藤昌三は装釘に凝ったマニア受けする本ばかりつくっていた訳ではないが、この本は蓑虫とかわけのわからない代物ではなく、表装材料に番傘を用いて装釘した天金小口の本である。私は本好きではあるが、マニアではないので、美本や限定本を集めたりはしない。自分の好奇心で調べて読むだけの話である。だから、齋藤昌三も戦前の出版事情を考えるために、1931年創刊した雑誌『書物展望』を読んでブログに載せたりしている程度である。

2017/11/04『書物展望 創刊號』(1931)

2017/11/05「築城典刑の初版と再版」

『書痴の散歩』も国立国会図書館デジタルコレクションに登録されているが「著作権の保護期間中であるか、著作権の確認が済んでいない資料のためインターネット公開をしていません」とすげない。国会図書館へ出向かなければデジタルですら読むことはできない。しかし、この本は装釘をこそ味合わなければ意味がない。いつだったか、Le Petit Parisienでお客様から借りたという本を見せてもらったことがある。研究所にもあったことに気がつかないのは不覚であった。

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#齋藤昌三 #書痴庵

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