『能「邯鄲」傘之出』満次郎の会、2010年
能そのもの記録ではない。これを買うときに注意されたことを思い出した。
しかし、佐藤晶子氏のスチール写真を上田益氏の音楽に載せてみるBGMとして見るとはなしに聴いてみた。最初に邯鄲男の面が映し出される。そして、辰巳満次郎氏の「邯鄲 傘之出」が蝋燭能の舞台として浮かびあがってくる。
テロップに「盤渉楽」が出る。以前なら気にも止めなかっただろうが、BGMシリーズを経た私にはニヤリとするのだった。
橋掛りから、影向の松のある本舞台を撮したのを見るとぞくっとする。ずっと止めて見入っていたい気がする。見るとはそういうものだ。そもそも春日大社の参道の一之鳥居を潜ってすぐ右手にあるのが影向の松であった。若宮おん祭ではこの影向の松の前で松の下式を行ってお旅所へ渡るのである。そんな景色が幻視される。
写真はいつのまにか舞台を飛び出して外の世界に出ていた、盧生の衣装を着た、能面を付けた辰巳満次郎氏を自然や人工物を背景に撮したものとなり、邯鄲男の面に戻って終わる。
付録が能M-2予告編「海人」と
第1回「満次郎の会」メモリーだった。
注)舞台は水道橋の宝生能楽堂である。
MOA美術館のエスカレーターや竹林を使っての撮影もある。香里能楽堂は芦屋にあるが残念ながらまだ伺ったことがない。
注)春日大社の影向の松は1995年に枯れてしまい、切株が往時を偲ばせるだけである。
注)辰巳満次郎氏のブログではアートディレクションの金子二三夫氏を入れて、能、写真、音楽、アートの習合とある。
#能
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