『夢の華』(1998)

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山田修司『夢の華』毎日コミュニケーションズ、1998年第2刷

山田修司詰将棋作品集である。第100番のタイトルを「夢の華」としている。故二上達也九段が「序にかえて」を書いていて、「暗示的」と評していた。第100番はタイトルだけの未完の譜だった。敢えて駒のない盤面だけを示すという今までにないプロットが無限の可能性と想いを感じさせる。13手詰など簡単なものもあるけどほとんど解けないうちに一年が経過してしまった。

若島正氏が「新しい古典」と評して懐かしんでいる。「一局の詰将棋を作り上げることがロマンチシズムの表現であった時代、そして解答者の側も作者とともにそのロマンに酔いしれた時代」がかつてあったという。山田修司氏は図巧・無双を超えることを夢見た世代だったと若島正氏は書いていた。

もう詰パラの購読をしなくなったので、手元に残した僅かな詰将棋作品集があるだけだけど、時々思い出しては本箱から引っ張り出してきて局面を眺めている。やるせない祝日の午後の時間が経っていくのだった。

現在は、マイナビからオンデマンド版やkindle版も出ていて入手可能な本になっているのは詰将棋ファンにとって喜ばしいことだ。

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