永井清彦『言葉の力 ヴァイツゼッカー演説集』岩波現代文庫、2009年、2015年第3刷
月刊監査役の水鏡第20回は「荒れ野の40年間」だった。去年の日本監査役協会監査役全国会議の参加者交流会のときT副会長がワイツゼッカーの1985年5月8日のナチスドイツ降伏40年の演説を取り上げ「人の一生や民族にとって40年という歳月は大きな役割と意味を持つ」と引用した話を書いている。
永井清彦氏はヴァイツゼッカーとしている。ワイツゼッカーというのは英語読みだ。経済記者H氏は英語読みのようだ。
Richard Karl Freiherr von Weizsäcker(1920年4月15日〜2015年1月31日)は西ドイツの大統領(1984年7月1日〜1994月6月30日)を勤めている。
岩波現代文庫版『言葉の力 ヴァイツゼッカー演説集』は『ヴァイツゼッカー大統領演説集』(岩波書店、1995年)に新たに3篇を入れ換えた改編,改訳版である。
「荒れ野の40年」を読んで演説の厳しさを知る。有名な言葉もコンテクストの中で読まなければ一人歩きする。
「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけではありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険に陥りやすいのです」。
最後にの「水にながしてはならないーードイツと日本の戦後50年」は退任後の演説である。
「人間が歴史から学べるという証拠はありません。しかしながら、誠実かつ率直に過去と向かい合うことは、遠近の隣人との、信頼にみち、国民としての利害にもっとも役立つ協力関係にプラスの作用をもたらすもので、このことはわれわれは経験で知っております」。
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