『ソーシャル物理学』を読む(その2)

断片記憶

アレックス・ペントランド、小林啓倫訳、矢野和男解説『ソーシャル物理学「良いアイデアはいかに広がるか」の新しい科学』草思社、2015年

著者の主張を見ていくことにしたい。

著者の主張

「優れたアイデアとは、社会的な探求行為を、慎重かつ継続的に行うことによってもたらされる。」(p39)

「アイデア」と「探求」についての定義を見ておく。

「探求とは、新しい(そして価値があると考えられる)「アイデア」を探すプロセスのことで、多様な人々から形成されるソーシャルネットワークを構築しながら、あるいはその中を動き回りながら行われる。企業においては、外部から多くのアイデアを取り入れているグループの方が、より革新的なアイデアを生み出す傾向にある」。

「アイデアとは、望ましい状態を生み出すための戦略(行動およびそれが生み出すもの、そしていつ行動を取るかを判断する仕組み)を意味する」。

「探求行為(アイデアを集め、精査し、有効なアイデアを選び出す)は、優れた意思決定をもたらすアイデアへと帰結する」。

どのようにして?

「探求プロセスは本質的に、実行者のソーシャルネットワークを通じて行われるものだ」。

社会的交流が果たす役割が述べられるに及んで福沢諭吉の「人間の交際」を思い出す。長いが引いてみよう。

「元来人類は相交るを以てその性とす。独歩孤立するときはその才智発生するに由なし。家族相集るもいまだ人間の交際を尽すに足らず。世間相交り人民相触れ、その交際いよいよ広くその法いよいよ整うに従て、人情いよいよ和し智識いよいよ開くべし」。「故に文明とは、人間交際の次第に改りて良き方に赴く有様を形容したる語にて、野蛮無法の独立に反し、一国の体裁を成すという義なり」。

福沢諭吉の『文明論之概略』に行き着いてしまった。というか、原点に戻っている。福沢諭吉が今に現れたらソーシャルネットワークと言うことだろう。

『文明論之概略』と議論が繋がっていたと感心している場合ではなかった。

『文明論之概略』に戻る前に、著者の言う「アイデアの流れ」から「人はなぜグループの一員として行動するか」を次回に見て行きたい。

(この項続く。細切れ時間を使ってスマホで書いているので、次はいつになるのやら。)

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