73「おばんざい」千宗室

ひととき

ひととき 2015年11月号の千宗室さんの京都(みやこ)の路地(こみち)まわり道は「おばんざい」というタイトルだった。

「噛んだときにキュッという。噛み続けるとクシクシとほぐれ、繊維の裂ける響きが伝わる」。

「おばんざい」をいただく音の描写が家元らしく巧みだった。家元が子供の頃に嫌いだった鰹の生節も酒を飲みだすと好物になったという。これはよく聞く話で子供は大概は偏食である。

家元の御母堂がT熊北店から到来した鰯の印籠煮を摺鉢でマーガリンとよくまぜてパテにし、リッツクラッカーに乗せてくれたのを我家のおばんざいと称している。バターでは塩分が濃くなるという。ご馳走さま。

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