『老舗考』(1980)

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「老舗」について、鰻屋で、どういうものなのかという話を知人としてみたが、うまい説明が見つからなかった。明治40年創業のこの店は「老舗」と言えるのだろうか。知人の「老舗リスト」には入っていないという。「老舗」を手元にある岩波古語辞典を引いてみると、「先祖代々の家業を守り継ぐこと。また、その家業・商店」とある。しっくりこない。

『老舗考』という本の中で安田武は「老舗の美学」を書いていた。「味といえば、「持ち味」という言葉がある。「持ち味」という、容易に代換えすることのできぬ、それ一個の個性、特質に、私たちの美意識は惹かれてゆく。「老舗」とは、要するに、この代換え不能なこの舗一店の「持ち味」を、何十年、何百年、代々にわたって、守りつづけてきた店のことではないだろうか」(安田武*江戸文化研究室『老舗考』(アドファイブ出版局、1980年)。

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