古典を読むとはどういうことか

読書時間

テキストは先人が読んで解釈したものが知識遺産として既にあり、われわれはそれを辿りながら読み直すことをする。

解釈というのは他と比較すれば相対的なものになる。絶対的な読みがあるわけではない。

なので、読み直しを通してテキストに新たな読み方を加えることを可能にするのが古典というものである。

したがって、古典を読むということは、単に知識遺産を継承するということだけではなく、新しい自己を創造していくことにもなるのである。

子安宣邦著『歎異抄の近代』(白澤社、2014)は、古典を読む方法で、近代の思想家の『歎異抄』の読み方を問うている。

「『歎異抄』は現代のわれわれとの間に発問と応答の可能性をもった稀なテキストであると私は思っている」(22頁)。

子安氏の読み方にしばし付き合おうと思う。

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