82 「祭の夜」千宗室

ひととき

ひととき 2016年08月号の千宗室さんの京都(みやこ)の路地(こみち)まわり道は「祭の夜」というタイトルだった。家元が自転車で神社の夜祭へいった時の話だった。鳥居を夜店の明かりが照らしていた夕方だった。綿菓子やベツコウ飴、おもちゃ屋、射的にスマートボール、それぞれに顔がある。コウモリが群れをなして羽ばたいていることに気づき、街かどが暗い頃のことだから、慌てて自転車に飛び乗った。

家に帰った時に手がべったりして甘い香りがしたという。綿菓子の砂糖なのだろう。勝手口の向こうの闇がゆらりと動く。射的の音がぽんと聞こえたような気がした。

場所的に考えると、上御霊神社か今宮神社のような気がするが、過去のひとときには上御霊神社は出てきても、今宮神社は出てこない。やはり上御霊神社であろうか。いやまて、本文には「鳥居を夜店の明かりが照らしていた。」に続き「夕焼けに似た橙色が石柱に映える。」とある。上御霊神社の鳥居は石造りである。今宮神社は楼門だ。鞍馬口から帰って来たとすれば、道は十分に暗くなっていたであろう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました