岡本彰夫『大和古物散策』ぺりかん社、2000年
元春日大社権宮司の岡本彰夫氏は「骨董の世界で地名を冠した名称は、「大和古物」の他はない」という。
岡本彰夫氏の大和古物の三部作について、読者はたぶん知らないであろうと思い、以前に書いた2部とそして、今回、新たに1部の読後感を書いてブログに載せることにする。その上で、今回の『大和のたからもの』についての感想を書くことにする。
さっそく読み始めて、掴みのうまさに納得した。「奈良古物」を広くとらえているので話題豊富である。
カバー画が粟津魏三郎作「樹下美人画」ですてきである。帯に「奈良の工の万華鏡」と題して内田弘保氏(奈良国立博物館館長、当時)の推薦文がある。
「春日大社の禰宜、岡本彰夫さんの本書は、その面白さとに思わず引きいれられ、教えられることの多さに感嘆した。正倉院御物からわらび餅まで、古都の工の伝統と生活が広い知識と深い愛情をもって語られ、奈良の多彩な人材の生き方とその誇り、喜び、そして時に悲しみを解き明かしている。本書を奈良を愛する江湖の人々にお薦めする」。
納得する推薦文である。本の推薦はかくあるべしと思われる。
著者はお酒が飲めないにも関わらず曽祖父の瓢箪にあこがれて瓢箪に酒を飲ませたという。ぐい飲みもそうだが、使わないと味が出ない。ジュンク堂が骨董の分野にこの本を分類していたが、優れたエッセイである。本の分類というものを考えさせられる。
他の大和古物
『大和古物漫遊』(2003)
『大和古物拾遺』(2010)
『大和たからもの』(2016)
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