森浩一編『万葉集の考古学』筑摩書房、1984年
森浩一氏が他に「菟原処女の墓と敏馬の浦」を書いていた。高橋連虫麻呂の「菟原処女(うないをとめ)の墓を見る歌」(『萬葉集』1809)は、先の『万葉集に歴史を読む』(2011年)の第六章 天平八年の遣新羅使関係の歌で本書で論じたと書いてあった。Referenceは若い頃は少し記憶に残ったが、読んだ側から忘れるので、当てにならない。
本書を読むと、田辺福麻呂の敏馬への旅が中心に書かれていた。東から東求女塚、処女塚、西求女塚と三基の前方後円墳が並ぶのは目立ったのだろう。古墳時代の墓と伝説を詠む歌は珍しいと森浩一氏はいう。菟原処女の伝説はロマンとしておく。
処女塚古墳は国の史跡となっていた。他の2つは公園となっている。古墳が灘の酒屋の近くにあるとは驚きだった。
森浩一氏の文章を読んでみて久しぶりに『京都の歴史を足元からさぐる』を読み直したくなった。本の内容は覚えていないが、疑問の持ち方は参考になる。
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