クリスマスには『アイデアのつくり方』を読む

Goinkyodo通信 読書時間
  1. ジェームス・W・ヤング、今井茂雄訳『アイデアのつくり方』CCCメディアハウス、1988年、2017年第70撮影
書誌情報
本文、竹内均の解説、訳者後書で102ページである。帯に「60分で読めるけど 一生あなたを離さない本」とある。本書は52ページの本文を読んで、地球物理学者の竹内均のアイデアを読むことで、普段の生活を振り返るのに役立つ。クリスマスに読む『クリスマスキャロル』のようだ。
朝と通勤の時間で再読し、夜の時間を利用して書いているのは、いつものことだ。
心を訓練すること
「どんな技術を習得する場合も、学ぶべき大切なことはまず第一に原理であり第二に方法である」(25ページ)。
アイデアを作りだす技術についても同じことだというので勇気づけられる。
第一の原理
「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」(28ページ)。
第二の原理
「既存の要素を新しい一つの組み合わせに導く才能は、物事の関連性をみつけ出す才能に依存するところが大きい」(同上)。
アイデアを作る実際的な方法あるいは手順
心の技術は五つの段階を経過してはたらく(33ページ)という。
方法については竹内均の解説の簡略化した言葉でまとめる。
①データ(資料)集め
②データの咀嚼
③データの組み合わせ
④ユーレカ(発見した!)
⑤アイデアのチェック
③は竹内均によると無意識のうちになされることが多いという。ポアンカレーは③及び④を無意識的活動と呼んでいるという。
「果報は練って待て」とフレーズをどこかで読んだ気がする。調べて、考えて、行き詰まったら、寝て待てというわけだ。脳が眠ってうるうちに情報整理をしてくれる。
アイデアが出たといって喜んでいるわけにもいかない。検証をして生き残るアイデアは百に一つあるかないかだ。
著者が最後にあげたことが気になった。
「私たちは言葉がそれ自身アイデアであるということを忘れがちである。言葉は人事不省に陥っているアイデアだといってもいいと思う。言葉をマスターするとアイデアはよく息を吹きかえしてくるものである(61ページ)。
「〈言語意味論(セマンティックス)〉という言葉を例にとってみよう。諸君がこの言葉を広告の中で使うという可能性はまずない。ところがこの言葉を諸君の語彙の中に持っていると諸君は実際的価値の高いシンボルとしての言葉の使用について数々のアイデアを手に入れることになる。(このセマンティックスという言葉をご存じない方は、ハヤカワ氏著『思考と行動における言語』をお読みになられるとよい。)(同上)。
注)
参考書が三冊あがっていたので読みたいと思ったが、何しろ原著は1940年に出ており、改訂版の日本語訳は1961年なので、Amazonでも見当たらない。
グラハム・ワラス『思考の技術』は見つからなかった。
ポアンカレ『科学と方法 改訳版』岩波文庫、1953年
W・I・B・ビーバリッヂ『科学的研究の技術』は見つからなかった。
ポアンカレは新たに伊藤邦武訳で『科学と仮説』(岩波文庫)が2021年12月に出たので、こちらを読んでみることにしたい。
2021/12/26 追記
グレアム・ウォーラス、松本剛史訳『思考の技法』ちくま学芸文庫、2020年
原著 Graham Wallas The Art of THOUGHT
人名の翻訳は難しい。

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