上田閑照編『西田幾多郎哲学論集Ⅲ 自覚について他四篇』岩波文庫、1989年、2019年第10刷
目次
絶対矛盾的自己同一
歴史的形成作用としての芸術的創作
自覚について
デカルト哲学について
場所的論理と宗教的世界観
解説 上田閑照
上田閑照の解説では、5本の論文は西田幾多郎の70歳から76歳で没するまでに書かれた16編の論文から選んだとある。
今回は課題である「場所的論理と宗教的世界観」しか読む余裕はなかったが、「自覚について」は認識論だけに気になる。
この論文の難しさは、西田幾多郎の認識論と親鸞の思想と両者を読み解く必要があることにある。何しろ山折哲雄塾頭の『『教行信証』を読む 親鸞の世界へ』(岩波新書、2010年)の内容もうろ覚えだし、『歎異抄』も見当たらない。自分に対して苛立っているのが分かる。上田閑照の解説は西田幾多郎の晩年の悲哀を書いているが、「宗教は心霊上の事実である」(P299)については説明になっていない。
論文は5章からなっている。
名和達宣氏の引用のない5章は4章の終わりから臨済の「平常底」が議論される。名和達宣氏は浄土真宗の研究者なので、禅には強い関心を示さないのだろう。
いずれにしても単独論文だけ読んでも知識不足で読みきれないということが分かってよかった。ゆっくりやろう。
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