小林由枝『京都のいちねん わたしの春夏秋冬』角川書店、2011年
私に京都の歩き方を教えてくれた著者が京都の二十四節気を絵と文で綴った本です。
「3月15日、嵯峨釈迦堂の名で知られる清凉寺で「涅槃会」が厳修されます」という書き出しと、お松明の絵を見ると、いつだったか、見に行った夜のことを思い出します。夜店で賑わう境内に設置された3基の7mもある大松明に火が灯されるお松明式は圧巻でした。奈良のお水取りと同じく、夜はストンと冷え込みました。春はこれが終わるとやって来ると言います。
「賀茂川の源流、雲ヶ畑の奥に岩屋山志明院という古刹があります」と読んでいくと思い出すことがあります。それは楼門前の石楠花の花の時期は混むという話でした。住職の奥様から聞きたのはいつだったか。著者は時々思い立って足を運ぶと言いいます。4月29日は志明院大祭なので、護摩焚きの後で火渡りをしたそうです。京都に住んでる人を羨ましく思ったりもしますが、ほとんどの京都人が行くことがないところを著者が愛していることが分かっただけで、私としてはもう何も言うことがありません。
師走の事始めの福玉や大福梅などを見るにつけ歳月という言葉が浮かんで来ます。
ああ、人生の旅人よ。
昨日見たレンギョウの花の如く、今日は土にかえる。
花が幻なら、人も幻。
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