北山忍『文化が違えば、心も違う? 文化心理学の冒険』岩波新書、2025年
後から買った本にオーバーライドされるのが研究所に来た本の運命かもしれない。世にいう積読である。もはや古書店と化した本箱を漁って本を持ち帰る人がいたが、本に対する嗅覚は捨てたものではない。手元に無くなるのは痛いが、グッと堪えてまた来てもらうことにしたい。
「本書のテーマを一言で言うなら、多様性の本質とは何か? である」(p.ii)。
世にいうところの「多様性」は、性差、年齢、国籍、宗教の違いを認める組織活動(ビジネスレベル)の話になってしまうか、「普遍性」と対立する概念としてある。本書は「多様性に隠された普遍性を見出す試みである」(p.v)。ここでは「文化普遍論」の立場をとらない。
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