佐藤洋一郎『京都の食文化 歴史と風土がはぐくんだ「美味しい街」』中公新書、2022年
京都について、自然地理学からみると日本列島を東西食文化に分ける境界近くに京都があるという(p.31)。京都の風土をそうして説明する。その中で食に関して色々な説明がされる。著者は食のライターの本も読んでいるようだ。
「「喜幸(きいこ)」は、季節になると主人が近くの鴨川に出かけてアユを釣ってくる。そしてそれを素揚げにして客に出している、まったくの天然アユで、毎日釣れるとも限らないのでメニューには載っていないが、そこが常連の心をくすぐるのだ」(p.49)という知っている話も面白いが、二条駅近くの中華料理店「大鵬」で徳山酢のフナズシのご飯の部分を隠し味にしている話(p.54)などは知らなかったけれどさもありなんという気になる。
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