奈良その奥から 一「霞の奥」
岡本彰夫『ひととき』2018年11月号
春日大社の元権宮司の岡本彰夫氏が「奈良その奥から」という連載を始められた。初回を読み返してタイトルの元となった歌をメモしておきます。幕末・明治の歌人、八田知紀が吉野山の桜を詠んだ歌に岡本彰夫氏は何を共感したのでしょうか。
吉野山 霞の奥は知らねども 見ゆる限りは 桜なりけり
吉野山の上方にかかる霞、下千本、中千本と称する山桜の花で山が埋め尽くされているように見えます。霞の先にも上千本やその奥に桜が咲いているに違いありません。日本の伝統的な絵は雲か霞がかかっていてすべてを見せてはいません。しかし、見えないところも、ないのでなく、あるのが日本のお約束のような世界です。霞が移ろえばそこに桜が見え、今まで見えていたところが霞で見えなくなります。
岡本彰夫氏は「日本人が誇りを取り戻すこと」をテーマにするといっています。これから楽しみが続きます。
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