2018年6月書籍往来 その2

書籍目録

小林秀雄『旧友交歓 小林秀雄対談集』求龍堂、1980年

このBGMシリーズで小林秀雄の講演のCDを何枚か聴いた。やはり、講演と対談、それもお酒の入る対談は少しくだけてくる感じがします。それでも活字になったものは、本人のフィルターがかかって統一されたものになっています。

私も、議事録や発言録を録音したものから作成してみて、言い回しが自分のパターンになっていることに気がついたことがあります。発言者には確認を求めていますが、趣旨が通っていれば、敢えて修正を要求してこない人もいるし、一字一句を直してくる人もいます。

この「白鳥の精神」は『文藝』 昭和38年1月号で河上徹太郎と小林秀雄が対談したものですけど、「今度あらためて削除訂正が、施されたことを、お断りしておく」(編集部)とあるので、20年近く経って小林秀雄の直しが入ったのでした。

政宗白鳥(1879年-1962年)には自然主義文学者という符丁が付いています。文学史に詳しくないので「自然主義文学」というものを的確に説明できませんが、小林秀雄の見方は少し違うように思います。かつて、小林秀雄は政宗白鳥と論争をしたこともあります。この対談を読む限りは親密な間柄が伺えます。政宗白鳥とキリスト教の関係を小林秀雄がいうとき、河上徹太郎が含むところがあったのは、自身がカトリックであったからということもありました。

講演と違い対談は、話している本人たちにとって自明なことの説明がないことで、彼らのコンテキストが辿れない点があることです。彼らの本もすっかり内容を忘れてしまっているので、どこかで読み直しをしたくなりました。読んでブログにメモしておけばよかったなと思いますが、そんなことを始めたのはつい最近のことなので、大抵は間違って覚えているか、すっかり忘れているかです。本のタイトルすら思い出せません。もっとも、確か書いたはすだと、ブログを検索しても、実際には書いていないこともあり、ほんと記憶はあてになりません。

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