小林秀雄『小林秀雄講演第1巻 文学の雑感』新潮社、2004年、CDは75分と57分。
1970年8月7日に雲仙ファミリーホールで大学生相手の合宿講義を企画したのは国民文化研究会理事長の小田村寅二郎であった。講演の題では分からないが、本居宣長の話であった。宣長の好きな山桜の話から、大和魂の話になった。才と大和魂の違いなどに話が及び、日本は学問が外から押し寄せてくる国で、これに応接する宿命にあるという。古事記が漢文に対する戦いと初めて言ったのが宣長だという。宣長が国粋主義者とは考えていないということだった。
2枚めのCDは1枚目に続き質疑応答だった。小林秀雄が皇居を拝観した経験の話は面白かった。皇居を造った人が小林秀雄に鴨が好きなら新嘗祭に招待するという。天皇が賢所に入るのを見守れば、鴨の雑炊を食べられるという。我々の入れないところの話に聴き入ってしまった。自分がどこに興味を持つかを知ることは自己を知ることである。
すでに3巻と5巻を聴いたが、第1巻も宣長とはすっかり忘れていた。
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