『京都を包む紙』(2007)

読書時間

井上由美子、村松美賀子『京都を包む紙』アノニマ・スタジオ、2007年

グラフィックデザイナーの井上由美子氏が8年間かけて集めた包装紙と村松美賀子氏が訪ねたお店の話からなる本です。

話は大極殿本舗の栖園で琥珀流しを食べるところから始まります。葡萄なので9月です。そして4月の桜の琥珀流しで終わります。

私は亀屋良永の「大原路」をよく買いました。9種類が季節により出てきます。本の写真は「夏の雲」でした。お菓子により季節を意識するのでした。1年の12分の1とか4分の1とかでないのが季節の遷移の仕方です。包み紙の美しさでは亀末廣が一番好きでした。亀末廣は買うつもりがなくても引き戸を開けて入ることをしました。「京のよすが」も季節ごとに中身が異なるので毎月のように買いました。季節柄置いてあるものは頭に入っているので、まだ早いと思っても、店に行き、「竹裡」がいつから(祝日明けに決まっていますが)と尋ねていました。「はあ、秋分の祝日の後から作らせてもろうとります。栗の出来によって10月いっぱいはあるか分かりません」。

本には「竹裡(ちくり)」という栗蒸し羊羹のパッケージが写真に収められていました。松村美賀子氏は新春を過ぎた頃に店に伺って「竹裡」を求めて店の人にあきれられたようです。京都で育ったわけではないので仕方がないことです。今年は「幼な木」はつくるのですかとご主人に聴けば、「丹波の白豆の良いのが入らなくて」とか答えが返ってくる季節です。滅多に出ませんが、引き出す力が欲しいところです。もっとも、ご贔屓さんしか分からないことでもあります。パッケージの話には余計な話でした。

私のような紙屑マニアとしては、箱の裏の所判などを見せられると、たまらなくなります。お菓子屋ばかりでなく、錦のまるやたの包み紙など見せられたりすると、穴子寿司で一杯やりたくなります。包み紙は食の記憶と結びついているので、これらを集めた井上由美子氏はどのような人なのか想像して楽しんでいます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました