金沢散歩(その2 懐華楼)

旅の時間

ひがし茶屋街の志摩でぽち袋を土産に買う。紙マニアなのだと思うが、集めたことを忘れてしまうのが絵本の栗鼠と同じで、鞄の中でくちゃくちゃになって使われずに終わることが多い。記憶は失敗したことが強く残るものだ。もらった方も大概はコレクションすることはない。未使用のぽち袋のコレクションを美術館で観たことがあるが、これにはマニア魂を感じた。

ひがし茶屋街をあてもなくクルクルと回り歩く。さっき通った道を反対側から歩いて見たりもして、壱番町に戻ってきた。今度は、志摩の斜め向いにある懐華楼(かいかろう)の暖簾を潜る。懐華楼は金沢で一番大きな茶屋建築である。昼は見学ができ、夜は一見さんお断りの営業もしている。玄関には丸下駄があるだけだ。待っていても誰も来ない。下駄箱を見ると幾らかの靴があったので、意を決して靴を脱ぎ、廊下に上がり正面の朱塗りの階段の右手を進むと受付があった。玄関からは隠れていて見えない造りなのだ。ぱすぽーとを見せて値引きしてもらい、お抹茶セットにした。朱塗りの階段で二階へ上がる。部屋は広く、誰もいないのでゆっくり見て回る。ただし、説明者もいなかったので、ここに書く情報はない。

中庭を挟んで向かい側の建物へ廊下を伝わって行く。ここだと襖越しに隣の客を気にせずに遊べると思った。一階へ降りて中庭の反対側にある売店へ行くと中国人のグループが見学していた。入口まで戻り、お抹茶を頼む。席で待っていると金箔を使った饅頭(懐華楼特製)とお抹茶がサーブされる。窓格子の上に団扇が飾ってあり、ひがし 美月と書いてあった。祇園の美月さんを思い出しニヤリとした。

時間切れなので、またにする。

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