上山春平『城と国家 戦国時代の探索』小学館、1981年
Ⅱ 京都の山城を探索する
上山春平は還暦を前にして精力的に山城踏査した。その京都編である。
私も京都一周トレイルで馬蹄形のところを回ろうと考えたこともあったが、日向大神宮から比叡山へ向かう取付きでアゴが出たので如意ヶ岳経由で大文字の火床に出た。それ以来京都一周トレイルは沙汰止みとなった。この時、いつもなら銀閣寺の裏に降りる通常ルートに向かうのだが、大の字の右払いの方向に降りていって、沢に出会い、鹿ヶ谷の霊鑑寺の脇道に辿り着いた。霊鑑寺の紅葉を外から写したのであった(2011.11.26)。
上山春平は如意ヶ岳の三角点を東西に結ぶ道と如意ヶ岳城は関係があるという。如意ヶ岳城を探すためには山城を見る目ができていなければならない。私は平らな尾根道が続くなと思った程度で、山城のために頂上近くを掘平した形跡など考えもしなかった。南西に展望の開けた先に晩秋の京都の街を眺めていたのだった。
上山春平は戦国期の山城を扱っているが、その背景には中世から戦国期の国家体制を探る視点があり、中世史の知識がないと難しい本である。当時は読めなくても無理はない。歴史書を読んで来て、やっと読める本になったのかと思った。
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