黒木喬『明暦の大火』講談社現代新書、1977年
石出帯刀吉深の『所歴日記』(駒敏郎, 森谷尅久, 村井康彦『史料 京都見聞記 第一巻 紀行Ⅰ』宝藏館、1991年収録)を読んでいて、解説に明暦の大火で活躍とあったので、調べたいと思っていた。
そのものずばりの『明暦の大火』をたまたま、寺町の古書店のワゴンで見つけて買い求めた。
黒木喬氏によれば、「万治四年、(1661)『むさしあぶみ』が京都で板行されて以来、本書が刊行されるまで、「明暦の大火」そのものをテーマとした書物が、ただの一冊も世に現われなかった」(223頁)という。
さて、石出帯刀の活躍は、牢屋奉行として明暦の大火で「切放」を行い囚人の命を救ったことである。黒木喬氏は囚人を縄でからめて避難する通例によらなかった点を疑問とするが、結果としてその後「切放」が踏襲されることになったという。
本書は「明暦の大火」の前の時代背景から入り、「明暦の大火」の経過及び影響を丁寧に述べている。好著と考える。
下記報告書においても本書の図が引用されている。
災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成16年3月
1657 明暦江戸大火
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kyokun/kyoukunnokeishou/rep/1657-meireki-edoTAIKA/
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