採用基準の究極

読書時間

山口孝夫著『宇宙飛行士の採用基準』(角川ONEテーマ21、2014)を読む。花火大会へ来た元の部下が置いていった本だ。彼氏が書いた本の方は買わせていただくとしょう。

JAXAが宇宙飛行士候補者をどのように選抜するかは興味深い話だ。超弩級の人材を採用する責任は重い。宇宙飛行士として育て上げるためにしていることを現役のJAXA職員が書いているのだから、採用に関わるものはその究極を知っておいてもよいと思う。

第三章 宇宙飛行士の採用基準

一般的な宇宙飛行士の選抜において、適格者を選び出す、手法と基準を述べるメインの章となる。

しかし、どのような試験をするかは私の興味の範囲ではないし、むしろ、大鐘良一・小原健右著の『ドキュメント 宇宙飛行士選抜試験』(光文社新書、2010)を読んだ方が得られる情報は多いと思われる。

受入側は、選択のミスをしないためにどのような工夫をしているかが私の興味を引くところだ。

受験者の心理を揺さぶる質問も面白いが、採用者側の心理面に着目して、ハロー効果対策をしたり、評価を公平性を担保するために数値化することが重要なポイントと思われた。

面接時のフィーリングで違和感を感じても、それで評価を落すことはせず、次の選抜で、その視点を生かそうとする姿勢は客観に徹していて、プロフェッショナルの凄みを感じた。

リーダーシップとフォロワーシップについては第四章でもふれられるが、自己管理能力としてリーダーシップが論じられるところは説得力がある。専門分野に応じてリーダーとフォロワーは切り替えられなければ、組織の解決能力が阻害されるという。

人を大切にする組織であるから、命を預けられるというのは重い言葉として受けとった。

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