水木しげる『妖精画談』岩波新書、1996年
水木しげるが西洋の妖精(フェアリー)を解説した本。オールカラー。西洋の妖精も水木先生にかかれば日本の妖怪と地続きだ。目に見えないものの存在は世界中で語られてきた。
Ⅰ 水に出るもの 30
Ⅱ 里に棲むもの 42
Ⅲ 森にまつわるもの 30
東の妖怪に対し西は普通はモンスター(怪物)だが、水木しげるは妖精をとりあげた。妖精を精霊という目に見えない存在として水木しげるが書いた短い解説を読みながら、見開きの絵を見ていると、日本にも共通にあるものや、西洋にしか無いものがあって、人間の想像力と共感力について興味深かった。
英文学者の井村君江氏が「ひと味違う妖精捕獲の成果」の中で、「ゲゲゲの鬼太郎」の魅力の秘密は「妖精化された妖怪」であるという。
水木しげるの対談中の発言をそのまま引用する(孫引き)。
「妖怪も妖精みたいに愛されるべきで、私は日本の妖怪を妖精化したわけです。日本は四谷怪談などのイメージが大きすぎて暗い感じになってしまった。必ずしも暗いだけでなくて、明るいのもいていいはずです。それで私は一生懸命、鬼太郎で妖精化していったのです」(「対談 日本の妖怪、韓国のトッケビ」『よむ』1993年8月号)
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