2026年9月購入図書(その8)
(購入後記)
日本人の死生観を扱った本書は、赤坂憲雄氏の近著『姨棄て考―老の場所をさがして』(岩波新書、2026年)とも関係する。これは自分が老いていく人間そのものである自覚が強くなってきたからでもある。佐藤弘夫氏の本は2008年岩田書院から刊行されたものを文庫化したもので、自著解説も付いている。柳田國男の『遠野物語』に始まる本書も『姨棄て考』と並行して読むことになる。
佐藤弘夫氏は柳田國男の日本人の死生観を問題にしている。それは、「死者がこの世を離れて遠い他界に行くという観念の不在」という通説への批判であり、また、戦死者の遺骨収集に見られる日本人の「骨」への関心に対し、柳田國男自身は無関心だったという指摘でもある。柳田國男の『先祖の話』も関係する箇所を読み直す必要がある。佐藤氏は、柳田國男が想定したような一貫性に捉われずに、葬送儀礼や言説の分析を通じて日本人の死生観を明らかにする試みを行っている。子安宣邦氏の言説分析に親しんだ自分としては納得できる方法である。
【思想】
佐藤弘夫『死者のゆくえ』ちくま学芸文庫、2026年

『死者のゆくえ』(2026)
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