師走で片付けしている時に見つけた。
プロローグを読むと、本書の位置付けがわかると思った。
「この本は主要な関心事を主人公の生活を描くことに限っているような性質の伝記の系列に入るものではない。(省略)これはジャック・オッフェンバックの個人的伝記ではない。これは一社会の伝記である」(p.9)。
19世紀のフランス社会を扱っているが、「この本は都市の伝記であると理解することもできる。それは、ルイ・フィリップの時代とともに始まり、第三共和国の開始まで達している、パリの町の生活を記述する試みである」(同上)。
こうメモしたが解像度が上がった気がしない。著者のジークフリート・クラカウアーがどのような粒度で本書を記述したのかを見なければ何も言えない。
しかし、原書のタイトルはそのものズバリの言い方である。プロローグの持って回った言い方をメモしたのは残念だが、構成が崩れるので直さないでおく。
Siegfried Kracauer: Pariser Leben
Jacques Offenbach und seine Zeit
Eine Gesellschaft-biographie,
Paul List Verlag München 1962
ジャック・オッフェンバック(1819-1880)はドイツ生まれである。本書がドイツ人によって書かれたのはまあ納得がいく。オペレッタは知ってはいたが、それ以上ではなかった。大学時代の本なので内容は忘れてしまっていた。
Amazonで調べると、1995年にちくま学芸文庫になっている。まあ、しかし、この手の本が増刷されることは考えられない。
【歴史】
ジークフリート・クラカウアー、平井正訳『天国と地獄 ジャック・オッフェンバックと同時代のパリ』せりか書房、1978年
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