『誰も読まなかったコペルニクス』(2005)

読書時間

オーウェン・ギンガリッチ、柴田裕之訳『誰も読まなかったコペルニクス』早川書房、2005年

天文学の話題は、子午線の長さを計測する話があった。途中まで読んだが、また続きを何処かで読もう。

2020-06-05『万物の尺度を求めて』(2006)

2020-06-07『万物の尺度を求めて』(2006)その2

『誰も読まなかったコペルニクス』はコペルニクスの『De revolutionibus orbium coelestium libri sex』(1543年)のことで『天球の回転についての六巻』、普通は『天球回転論』と訳されている。しかし、本書では一貫して『回転について』で通している。

本書の序章で小説家のアーサー・ケストラーが『夢遊病者たち』(1959年)の中でコペルニクスの本が「誰にも読まれなかった本」(P14)という評価したことに対し、ギンガリッチ氏は30年かけて調査した結果を本にした。

本のタイトルが『THE BOOK NOBODY READ』なのはケストラー氏への皮肉の意味を込めているという(P380)。

コペルニクスの本の初版(1543年)と第二版(1566年)を世界中に探し求めて書き込みの有無や来歴などを調べて601冊分のリストを作ったという。付録2に初版のリストがあって日本にも6つの大学にあることが分かる。金沢工業大学が「世界を変えた書物」展を開催したのは2018年から2019年にかけてだったから記憶に新しい。この時に本書を読めばもっと興味が湧いたに違いなかった。

著者のギンガリッチ氏も天文学者であるので、貴重書を手に取る機会が得られたのだのだろう。

16世紀の印刷事情や本の造り方に関する裏技さらにはサザビーズなどのオークションの話などを読んでいるとギンガリッチ氏と一緒に世界を旅した気分になる。裁判に証人として出廷した著者が蔵書票について証言している第1章を読んで、フランクリン協会の蔵書票をググってみたら、Franklin Institute Bookplateが売っているではないか。調べてみたくなったが、時間になったのでまたの機会にしよう。

この本は天文学の話というよりは、本の行方を探る話であり、蔵書票や製本などが好きな人が読んでニヤリとする本だと思う。その意味で本書の副題を「科学革命をもたらした本をめぐる書誌学的冒険」と日本側で付けたのは的を射ている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました