「酒呑童子絵巻」を観に根津美術館まで

散歩時間

根津美術館に「酒呑童子絵巻 ー鬼退治のものがたりー」を観に行く。

室町時代の酒呑童子絵巻は残念ながら1巻しかなく、これからというところが見れない。江戸初期の伝狩野山楽の3巻本は色がよくなかった。19世紀の住吉弘尚の8巻本は酒呑童子の誕生から始まっており興味深い。伊吹明神と郡司の娘の間に生まれ、酒が好きな童子として描かれて、比叡山に預けられるが、酒を飲んで狼藉したことで最澄によって追放された。それから調伏されて後が私の知っている酒呑童子である。源頼光は朧谷寿先生の本で読んだけど、大国の受領を歴任し、藤原道長に仕えた軍事貴族であって、武勇の話はなかった。オーディオガイドを聴いていたら、絵の継ぎ順が違っていて、毒酒に酔った酒呑童子を侍女達が鎖に繋ぐ絵が前後したという。文字が細くて読みにくい絵巻である。その後に見た本阿弥光悦の「和漢朗詠抄」がよかった。庭を散策したが花に乏しい季節であった。

注)朧谷寿『源頼光』(吉川弘文館、1989年)は『清和源氏』(1984)の中で紹介した。

渡辺照宏によると「最澄は弟子の光定への遺言で酒を飲む者は山を去れといっている。『顕戒論』でもそういっている。」(渡辺照宏「最澄と空海の思想」『日本の思想1 最澄・空海集』筑摩書房、1969年)

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