『発想法 創造性開発のために』(1967年)

断片記憶

川喜田二郎『発想法』中公新書、1967年、1979年第47刷

『発想法』(1967年)を読み直す機会があった。大学を出てから買った本である。これをAction for Readingで読むという会だった。いったい何十年振りに読み返す本である。当時のベストセラーから何を引き出そうとするのか。

野外観察の達人である川喜田二郎が、自らの経験をまとめた本であり、随所に使えるツールがある。

野外観察の4条件

(1)とき

(2)ところ

(3)出所

(4)採集記録者

これは当たり前かもしれないが、これがなければ科学では使ってはいけない。ビジネスでも同じだ。

人間観察の7つの視点

1.類型的行動

2.状況

3.主体

4.対象

5.手段方法

6.目的

7.結果

ここで、類型的行動は、少し説明がいるかもしれない。文化人類学を川喜田二郎が扱っているため人間の行動を含めている。類型的行動は人間のひとまとまりの行動である。この単位的な行動を類型的にまとめて表現すると、たとえば、散歩、食事、出産、討論、恋愛、お祭り、農耕、戦争などとなる。こうした類型化された行動に対して、当事者たちはさまざまの名前を与え、概念を用意しているので、それを調査することになるのである。

観察から全てが始まるのがデザイン思考とすると、川喜田二郎は問題提起から始めて調査にはいる。デザイン思考は非デザイナーがデザイナーの思考を利用して問題解決を図る枠組なので、まず観察を通して共感することろから始める。川喜田二郎の人間観察の視点は観察を考えるに当たり参考になった。

それにしても、問題が所与に与えられた時代が、今では、問題を発見する時代となった。ツールもそれに応じて変化するのである。

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