平安朝の歌集の四季の部立は春から始まる。1年が立春より始まるからである。しかし、在原元方の有名な歌にあるように暦とずれることもあった。
春は旧暦の暦月の正月から3月である。
二十四節気では立春から立夏の前日までが春である。暦月の正月と節月の正月がずれる理屈は注)をみてもらうことにする。
もちろん、新暦では春は気象上は3月から5月をいう。英語のspringは北半球では3月から5月だが、南半球では9月から11月である。また、年度の四半期を言う場合は4月から6月を指すが英語ではspring quarterという。
『古今和歌集』は20巻よりなる。四季の歌(6巻)と恋歌(5巻)が中心となっている。毎日少しずつ読んで眠りにつくことにしょう。
春歌 上下
夏歌
秋歌 上下
冬歌
賀歌
離別歌
羇旅歌
物名
恋歌 一、二、三、四、五
哀傷歌
雑歌 上下
雑体
大歌所御歌・神遊びのうた・東歌・墨滅歌
注)
細井浩志『日本史を学ぶための<古代の暦>入門』(吉川弘文館、2014年、2015年第2刷)から、暦月と節月を説明していているところ抜き出してみる。
「非常に古い時代を除く中国と、朝鮮・日本の太陰太陽暦では、暦月(カレンダーの月=month)の名前を,十二中気によってつけます。つまりある暦月のあいだに,太陽が正月中気点(黄道上330度)を通過すれば(正確に言うと通過したとされる時刻が含まれれば),その暦月を「正月」と名付けます」。
「一方,十二節のどれかの日から次の節の前日までを,節月と言います。(省略),節月の正月と日常使われる正月とは,期間がずれます。つまり旧暦の暦月1日(新月の日)から,次の暦月1日の前日までの間に,太陽が正月中気の雨水点(黄経330度)を通過してら,この暦月が「正月」です。しかし,太陽が正月雪月花である立春点(黄経315度)を通過ふるのは,正月中気の15日ほど前です。仮に正月中雨水が正月3日にあれば,正月節は12月17日ころです。よって節月の正月は,この日から,2月節啓蟄(驚蟄)の前日(暦月の正月17日ころ)までとやります。この結果,有名な
在原元方の歌,
年のうちに 春はきにけり ひとゝせを 去年とやいはむ 今年とやいはむ
(『古今和歌集』)
という事態が起こるわけです」。
暦を疎かにして、古今和歌集を読むのは残念なので、煩雑だが、歴月と節月の違いを理解しておくことにしたい。
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