『テクノロジストの条件』(2005)

断片記憶

P・F・ドラッカー、上田惇生編訳『はじめて読むドラッカー【技術編】テクノロジストの条件 ものづくりが文明をつくる』ダイヤモンド社、2005年

松尾明先生がシステム監査学会でドラッカーの『テクノロジストの条件』を基準書として読むことを発表したのは、2014年6月6日の研究大会での挨拶だった。この間(2016年3月28日)、定例研究会でやはりドラッカーの『テクノロジストの条件』をあげていた。この論文集は日本だけの出版であるという。

『テクノロジストの条件』は読むたびに新鮮だ。モダンを考えている時は、脱デカルトに興味を持ち、イノベーションを考えているときは、技術の意味と目的に注目して読むことになった。

「道具」とは何か。「技術」とは何かポストモダンの我々は問い直す必要がある。ロボットやAIにより人間にとって「仕事」とは何かが根源的に問い直さなければならない状況がきている。

当たりまえのものを定義をすることは難しい。定義について誰もが同じイメージを持ってはいない。現実は定義を超えていく。

松尾先生は「クラウド」と「サイバースペース」の定義を会場に問うた。定義が定まらないのは発展途上なのだ。NIST(米国標準技術研究所)の定義を持ってきても仕方がない。だが、自分はどう説明するか用意していないことは間抜けだった。クラウドの本質はリソースへのアクセスモデルである。NISTはモデル概念を述べている。

Cloud computingの定義をNISTでみると、2011年はubiquitosが入ってたが、今は、とれているようだ。以下は2011年のNISTの定義をメモしておく。IPAの訳があるのはこのバージョンだ。

Cloud computing is a model for enabling ubiquitous, convenient, on-demand network access to a shared pool of configurable computing resources (e.g., networks, servers, storage, applications, and services) that can be rapidly provisioned and released with minimal management effort or service provider interaction.

日本語の「クラウド」≠「cloud computing」であることは、少し説明に時間がかかりそうなので、今日はここまでにする。ドラッカーの文明論に話をもどさなければいけないが、いずれまたになる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました