漫然と読む

Goinkyodo通信 断片記憶
本をどう読むかは本に拠る(注)。
最近は入門書というか概説書を読んできたので、一字一句に着目していたので疲れたのかも知れない。こういう時は、小説でも読めばよいのだろうが、精神が疲れると、登場人物達につき合うのも煩わしくなる。そこで積読の山を眺めて何か手に取ってみたりする。普段のように計画的に仕事の本を読むのと違い、漫然と読む。だから、気がつくと抹茶ラテが冷えている。漫然と読むことは山本七平氏の本で知った。休日の午前中くらい仕事を離れた本を読むというか自問自答していたいものだ。『字統』とかを引きながら著者の語彙の世界に想像を巡らしたりする。旧制高校の教科書とか当時読まれた本を違ったコンテクストで読めば時間は確実に経っていき、架空の町にある飲み屋が出てくれば、白熱電球の灯の下でぐい呑みを握る手の力加減を思ったりする。
知識体系の出来上がっている世界では用語や概念が整理されているので、言葉は厳密に使う必要がある。むしろ定義された言葉をその世界で使うので、いちいち確認する必要はない。専門用語とは挨拶抜きで仕事に入れる便利な言葉である。但し、このスキーマを身につけるには膨大な時間と努力を要する。分野の異なる人と初対面で会うと話をするのが途端に難しくなり緊張する。スピードも極端に落ちる。社会科学では概念の定義がそれぞれの研究者で異なることがしばしばあるので話を合わせるのが難しい。実務の世界は統一の用語集があるが、その範囲を越えた議論をすれば、概念をいちいち確かめなければ話が噛み合わないのは同じことだ。道具としての言葉には限界はある。
この知識体系はあらゆる分野であるので、我々はいちいち判断をしない。太陽は西に沈むというのは地球上では地動説に立っても常識的な言葉遣いである。
注)1テーマ概説書の読み方については、高等遊民氏のnoteが参考になる。
【3時間で3周】入門書や概説書を効率よく読み進める10のプロセス

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