読書の目的はたった一つ

読書時間

谷沢永一『人間学』五月書房、2004年

「読書の目的はたった一つ。現代の日本に生きるわれわれ日本人が、社会的人間として、自分自身にとって最も有利な生き方を実現するための栄養素が何であるかを発見することに尽きる」(P126)。

読書自体が目的化すると、本で身動きがつかなくなる。自分がより良く生きるという目的から、自分の目で選書しなくてはいけない。知識はいくらあっても足りないが、時間は有限である。読める本も限りがある。いっぺんには読めやしない。料亭の料理や、インスタント食品で偏った食生活を続ければ生活習慣病となるリスクが増す。大事な栄養素を摂取することで筋肉を維持しなければ動くこともままならなくなる。

本を見る目も同じだと谷沢永一はいう。自分に足りない栄養素が何であるかを気づかせてくれる書物を探すのも読書の目的だと思う。

書誌情報

既刊で今では流通していない谷沢永一の著作のなかから、五月書房の背戸逸夫氏が選んだ57点の章句に一項四百字でコメントしたもの。2004年の正月三が日の仕事とある。もっとも、最初の「自分だけが特別だと思い誤ってはいけない」は10枚程度のコメントがある。

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