『沖縄の聖地 御嶽』(2019)その4

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岡谷公二『沖縄の聖地 御嶽 神社の起源を問う』平凡社新書、2019年

第4章 貝のみち

朝鮮半島から対馬・壱岐、そして九州の西岸を経て、奄美・沖縄へと至る海路を「貝の道」という。琉球以南の珊瑚礁海域でしか取れないゴウホラやイモガイの貝輪が弥生時代の九州を中心とし、山陰から瀬戸内海沿岸地方にわたる遺跡から発見されたという(P112)。

御嶽に似た森だけの聖地を、対馬の天道山、薩摩大隅のモイドン、種子島のがロー山、沖縄本島の玉城の藪薩御嶽まで辿れることを岡谷公二氏が確かめる旅を書いている。

後半は九州西海岸から壱岐にかけての地域に見られる聖地である「ヤボサ」と藪薩の御嶽の関係の考察や琉球国と倭寇の関係の問題か取り上げられる。

「たとえば、ヤボサが藪薩御嶽となったのはいつごろのことだったのであろうか?」

岡谷公二氏は、仲松弥秀の意見を妥当とし、グスク時代(十二〜十六世紀)以降と結論付けている(P137)。

注)「御嶽に祖霊神が祀られるようになったのは、定住集団共同社会において、いわば農耕に重点がおかれるようになった時代からと考えられる」(仲松弥秀『神と村』梟社、1990年)

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