小林秀雄『小林秀雄講演第3巻 本居宣長<講義・質疑応答>』新潮社、2004年
60分CD2枚、解説付き
小林秀雄が1978年8月6日に国民文化研究会主催の夏季学生合宿教室で行った講演をCD化したもの。
国民文化研究会理事長の小田村寅二郎が「講演ではなく講義」という解説を書いている。
小林秀雄は『本居宣長』(新潮社、1977年)に言いたいことは全て書いたという話から始めた。読んでもらえればよいと。
そして、哲学者の話になる。プラトンの『パイドロス』を取り上げて、若いパイドロスがソクラテスに神話を信じるかと問うたことに対しソクラテスの回答を提示する。ソクラテスは逆にパイドロスに対し自分を知ることができるかと問う。汝自身を知れという話だ。神話といえども思想であるという。小林秀雄はこの考え方は本居宣長と同じだという。本居宣長は論理的であるが、狂信的でもあるという世間の評判に対して小林秀雄はその見方を否定する。本居宣長の書いたものを読み込むことで、一体としての本居宣長を理解したという。本居宣長はソクラテスが言うように『古事記』の神話を信じたという。
プラトンは哲学の形式として対話を発明した。対話を純粋化すると自問自答になる。中江藤樹は問答と言った。「問答体」で『都鄙問答』は書かれた。小林秀雄は問うことが大事と強調するのは、大学生相手の講義だからだろうか。
本居宣長が「問答体」で書いたのは『排蘆小船』であるというのを聴いて、対話について私の考えが浅かったことを反省した。
なお、質疑応答は聞き辛いので、Disc1だけでよいと思う。
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