70「蝉時雨」千宗室

ひととき

ひととき 2015年8月号の千宗室さんの京都の路地まわり道は「蝉時雨」というタイトルだった。自転車で広沢の池から山間に向い畑を抜けた先の竹林から蝉時雨が降ってきた。陽射しが痛い日のことだ。

自転車できたのが間違いだった。家元の家から十数キロくらいはあるだろう。家元は喉が焼けるような思いをしたが、自転車を押して歩きながら、シャワーのような蝉時雨の中にもう少しいたかったという。竹林の切れ目の自販機で水を買うことに少しうしろめたさを感じる家元が面白い。

私も蝉時雨を聴いていると気が遠くなるような気がしたことがある。ヒグラシの蝉時雨は悲しげであるけれども、烏丸御池のクマゼミの蝉時雨は逃げ出したくなるくらいだった。家元が竹林の中で聴いた蝉時雨は何セミなのだろう。そもそも私は竹林の中で蝉時雨を聴いた記憶はない。

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