2024年03月購入図書(その3)

書籍目録

三月弥生も、読む本を考える生活です。読書地図によれば、中世哲学あたりに関心があることは明らかです。

(購入後記)

原題はAristotle’s Children 副題はHow Christians, Muslims, and Jews Rediscovered Ancient Wisdom and Illuminated the Middle Ages

西洋中世の思想を概括する意味で、読んでみたかったのですが、なかなか本屋に置いていませんでした。それでも4刷になっていたということはそれなりに反響があったのでしよう。

「暗黒の中世」という符牒は流石に聞かれなくなりました。山本芳久氏が解説を書いています。「信仰」と「理性」の「紛争解決」は稲垣良典著『神とは何か 哲学としてのキリスト教』(講談社現代新書、2019年)の問題意識と重なるようです。

山本芳久氏の解説を読むと、著者のルーベンスタイン氏は紛争解決の専門家ですが、中世哲学の専門家ではないといいます。

「ルーベンシュタインの書籍は、その原題が与える印象とは異なり、イスラム世界やユダヤ世界の知の在り方については、さほど多くの紙幅を割いてはいない。(省略)。井筒俊彦『イスラーム思想史』(中公文庫)やユリウス・グッドマン『ユダヤ哲学』(みすず書房)といった優れた関連書籍へと読み進めていくことによって更なる洞察を深めていくことを記念しつつ、擱筆したい」(p.523)と結んでいました。井筒俊彦の本は読んだことがありますが、ユダヤ哲学は山本七平の本を齧ったくらいなので、どこかで補うことができればと思い、メモしておきます。

「理性」と「宗教」の在り方に関する議論は、12世紀にアリストテレスが西ヨーロッパ世界で再発見されてから始まり、近代を迎えて「理性」の世界となりました。しかし、「理性」と「宗教」の在り方に関する議論は終わったわけではなく、現代においても続いていると考えるべきでしょう。イスラーム世界における男女の差別の問題などを含め世界は紛争でできているとしか言いようがないと思います。

ユリウス・グッドマン、合田正人訳『ユダヤ哲学 聖書時代からフランツ・ローゼンツヴァイクに至る』みすず書房、2000年

【思想】

リチャード・ルーベンスタイン、小沢千重子訳『中世の覚醒 アリストテレス再発見と知の革命』ちくま学芸文庫、2018年、2022年第4刷

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