佐藤雄基『御成敗式目 鎌倉武士の法と生活』中公新書、2023年
佐藤雄基氏の文章は『日本中世初期の文書と訴訟(山川歴史モノグラム)』(山川出版社、2012年)と高橋典幸・五味文彦編『中世史講義 ーー院政期から戦国時代まで』(ちくま新書、2019年)の第2講くらいしか読んだことがなかったけれど、御成敗式目というビッグネームで買うことにした。もっとも、山本七平による日本人論には御成敗式目は出てくるので、有名だけれども誰も知らないというわけではない。御成敗式目がどう読まれてきたかという問いの意味することがわかるのでいずれ読もうと思っていたが、通勤用の本がなくなったので読み始めた。もう、暦の上では秋になったが、学生はまだ帰ってこないので電車での読書は可能である。
書誌情報
詳細な目次、参考文献、御成敗式目五十一箇条の書き下し文、五十一箇条と追加法を本文と紐付けた索引が完備されていている。
あとがきを読むと佐藤雄基氏が2021年にロンドンで現存する4つのマグナカルタを見た感動が書かれていた。小倉孝保氏の『中世ラテン語の辞書を編む 100年かけてやる仕事』(角川ソフィア文庫、2023年)もラテン語で書かれたマグナカルタを見た印象が書いてあったのを思い出した。御成敗式目の「来歴」については第一部を読んで確認すれば良い。上山春平が律令制が江戸時代まで続いていたと書いていたが、御成敗式目は1232年(貞永元年)に執権北条泰時により制定されたことは知っていても、いつまで続いたのかはあやふやになっていた。そういう点も確認しながら読むことにした。足利尊氏が建武式目で貞永式目を引き継いでいるので、室町時代まで続いたというところまで確認できたのである。
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