朧谷壽・山中章編『平安京とその時代』(思文閣出版、2009年)は山中章氏の序によると実質は『朧谷壽先生古稀記念論集』とのこと。
山中章氏が平安京研究に欠かせない書として以下をあげている。
古代學協會編『桓武朝の諸問題』(古代學協會、1962)
角田文衞編『摂関時代史の研究』(吉川弘文館、1965)
角田文衞編『延喜天暦時代の研究』(吉川弘文館、1969)
角田文衞編『後期摂関時代史の研究』(吉川弘文館、1965)
このあとに本書を話題としたのはいささか手前味噌の感もある。
三省堂の本店で手に入れたのだが、「日本の古本屋」で調べると、東方書店で8,700円で1点(2014年8月8日現在)、Amazonでは古書価格15,990円〜18,937円で8点あった。まあ、三省堂で新書を9,270円で購入できたのは御の字ということか。
朧谷氏は「摂関盛期の天皇の葬送」として、以下の天皇の個々の葬送の考察をしている。
一 冷泉・円融・花山天皇
二 一条天皇
三 三条天皇
四 後一条天皇
五 後朱雀・後冷泉天皇
清和天皇より火葬が一般的になったが、一条天皇の場合、土葬を希望されたにもかかわらず藤原道長が失念して火葬にしてしまったという。一条天皇の中宮藤原定子は遺言により土葬が実行されている。
また、「崩御の場が遺体を沐浴にする水ならびに造棺の方角を左右した点は興味深い」(19頁)としている。
院政期については将来の課題としているので、早く続きを読みたいものだ。
山中恵美子氏が「町家から、ほの見える平安京」を載せていた。目次が町屋になっていたのが校正ミスでちょっと残念だ。
最後に、朧谷氏が山中章氏の還暦記念論集とエールを返した点がうまいと思った。
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