デカルト著、谷川多佳子訳『方法序説』ワイド版岩波文庫、2001年、2003年第3刷
さて、ヴァレリーの「デカルト」を読んでいよいよ和室の本棚にある『方法序説』を取り出して読むことにする。
『方法序説』は6部に分かれている短い本だ。もとは、3つの科学論文集の序文だった。
本書は1997年の岩波文庫版をワイド版にしたものである。ワイド版があるものはワイド版に限る。
流石に、4部の神の存在証明や5部の解剖学は面白くない。ヴァレリーの読み方が面白かったが、デカルトの文章は曖昧にしか書いていないところもある。訳注を読みながら本文を読むのだが、三十年戦争当時の思想状況をして著者名なしで出版しただけあって、気を遣って書かれており真意を受け取りにくい点もある。そもそも400年近く昔に書かれた本がそのまま分かるものではない。
翻訳した谷川多佳子氏の解説でヴァレリーがでてきた。
「…デカルト自身が語ったことや希求してことを、ここでもう一度直接に読み直してみるのも、無駄ではないと思う。ヴァレリーが言いあらわしたように、ここには、デカルトの生涯を語る魅力に富む話と、彼の探求のきっかけになった状況とから始まって、一つの哲学を告げる序曲のなかに、デカルト自身が目のあたりに存在しているのだから」(P136)。
ヴァレリーに始まった読書であった。なかなか読めない『方法序説』だったが、とりあえず読み通すことができた。しかし、解説が物足りないと思った。調べてみたら、著者から本が出ていた。
谷川多佳子『デカルト『方法序説』を読む』岩波現代文庫、2014年
2002年に岩波セミナーブックスで出したものを現代文庫化したものである。
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